ニューヨークとは、アメリカとは、そして日本とは。 マーケティングに関する話や人々の日常生活の中で思ったこと、考えたこと、驚いたことなどを書き留めていきます。
July 30, 2007
口コミの力を信じよう
続けてオートバイの話をします。写真はビレッジで見かけた乗り物です。シンプルなデザインに加え、素朴で巧みなカラーリングが僕の目をひきつけました。よーく見ると、ペダルとチェーンがあるため立派な「自転車」と考えるのが正しいでしょう。ところが前輪部分を見るといかにもモーターらしき物体が前面に取り付けられてます。これはいったいどういう役割なのか、さらに興味がわいてきます。
ブレーキレバーのつき方、主張感のあるサドル、右側後方のケース、細いけどもバランスがよさそうなスタンド等々、興味のあるアイテムがたくさんちりばめられているこの乗り物、とても気に入ってしまいました。レストランの歩道に停めてあり、オーナーの帰りをしばらく待っていたのですが、残念ながら持ち主は現れず、話が聞けませんでした。
メーカー名やモデル名などの「証拠」がどこにも見つけられず、つまり、写真に収めただけで、この乗り物の実態を調べるつては全くないということです。インターネット時代。モノ調べることが何百倍もラクになった今、ここまで無力感を味わったことは久しぶりです。画像ファイルのパターン・マッチングを得意とする検索エンジンもありますが、さすがにこの写真では結果はでません。敗北感に浸りながら、最後の手段に頼るときがきたようです。そうです「口コミ」です。もし読者の中で、もしこの乗り物の正体をご存知な方がいればぜひとも教えてください!
July 23, 2007
中国製オートバイ
最近、中国に関するニュースをたびたび耳にするようになりました。当然経済成長の話も多いのですが、同時に米国に輸入される食品や電化製品類に関する安全基準の緩さが問題になっているのも事実です。テレビニュースでは、魚類、甲殻類、野菜などが米国食品基準外の抗生物質を含んでいるケースが多いようで、輸入時の検査で入国不可となり、そのまま本国へ送り返されるケースが後を絶たないようです。ニュースではさらに、一旦送り返した物品がそのままUターンする形で再び米国の税関に入ってくるケースもあるようです。
オートバイ好きな僕は、ニューヨークで見かけるオートバイにはとても敏感です。この写真は、近所に停めてあったモノで、人工的なカウルの色、安っぽいメタル塗装等、電気なのかガスなのかわからないエンジン等々、おもちゃのようで今まで見たことのないオートバイでした。持ち主がいれば質問したのですが、残念ながらどこにも見かけなかったので、ひとまず写真にとっておいたのです。
なんと、中国メーカーによるオートバイということが後でわかり、ちょっとした驚きでした。かなり昔、日本のオートバイメーカーが中国でのコピー製品に手を焼いているというニュースを聞き、驚きと同時に失笑させられました。そして経済力がついた今、ついにここまでこれたわけなんでしょう。しかし、このデザイン、なんというか妙だと思いませんか?エンジンはどんな音なのか、乗り心地はいかなるものか、とても興味があります。
July 16, 2007
ガソリンの値段と「グリーン」
夏本番になってきました。そのせいなのか、本来のテーマでもあるニューヨークにみる広告やマーケティングのテーマが若干少なくなっているような気がしています。もしくは、暑さで僕の感覚が麻痺しはじめたのでしょうか。。。
ということで、今回のテーマは高騰しているガソリン代に関してなんとなく取り上げてみようと思いました。写真は近くのガソリンスタンドです。マンハッタン内はガソリンスタンドが少なく、かつ高いのですが、個々は比較的良心的な値段ということで、タクシー運転手が多く利用しています。Lukoil社とは、ここ数年でニューヨーク界隈で急激に伸びているロシア系非メジャー石油会社です。米国でも以前はメジャー系石油会社のシェアは高かったのですが、ここ数年このような非アメリカ石油会社が急速に成長しています。専門ではないので理由は不明ですが、やはり需要供給の関係からなのでしょうか?
さて、この日のガソリンの値段はガロンあたり3ドル23セントでした。日本的に計算しなおすとリッターあたり103.4円ということです。かなり高くなりました。昔の僕の記憶では米国のガソリン代は日本の4分の1程度という記憶がありました。さらに、9/11以前でもガロンあたり1ドルを割っていた時代をよく覚えています。この国でこれだけガソリンが上がると、問題がたくさんでてきます。ニューヨーク以外は通勤で車を利用するのが一般的で、片道1時間以上の通勤時間者も少なくないです。プリウスが売れるわけですね。さらに、輸送代がかかるということで、食品その他小売品がじりじり値上げします。さらには、代替エネルギーのエタノールを生成するために多量のとうもろこしを利用するため、とうもろこし代も高騰しています。
このエタノール。今では「グリーンアメリカ」の代表アイテムとして政治家が必死にアピールしています。確かに、最近のガソリンスタンドではエタノール10%混合ガソリンを普通に見かけるようになりました。果たして、この動きは本当に正しいのでしょうか?とあるテレビ番組では、エタノールを生成するためにより多くの石油燃料を使わなければいけない。というふざけた矛盾を公表していたりします。この国は「グリーン」を本気で考えているのか、僕にはそう思えないのです。
July 09, 2007
ファッション誌での発見
久々にファッション誌を楽しみました。数あるファッション誌の中で、写真の質、テーマの選び方など総合的に優れていると思うのが写真のGQです。魅力的な女性のカバーに惹きつけられたのも事実ですが、今回はその中の特集に驚かされました。
FALL PREVIEW GQ10というテーマにて、10ページにわたる秋ファッションの特集がありました。不思議なことに、この特集では、GQでも稀なアジア人のモデルが使われていたことに驚きました。そして、よく見ると知った顔で、「中田英寿」ではありませんか。これにはさすがにびっくりして思わず購入しじっくり読むことにしました。
米国では欧州のサッカーはほとんど放映されないのですが、以前、イタリア語チャンネルで週に1試合だけセリエAの試合が放映されていました。ラッキーにも中田選手がプレイするチームの試合が放映されると必死に見たことを思い出しました。イタリア語の実況解説は何を言っているのかわからなかったのですが、「Nakata, Nakata」と頻繁に呼ばれる放送をみつつ、その活躍を感じたものでした。英国への移籍時にも立派な英語で記者会見を受けている姿を見て、たいしたスポーツ選手だ!と思っていたのです。
そして、引退。今では世界を旅しているようで、こうした発想がコスモポリタンとして世界的にも受け入れられているのでしょう。ちなみに、この10ページのファッション特集では、中田氏をこう説明していました。We know what you're thinking: This guy doesn't look like a typical model. And you're right - he's not He's Hidetoshi Nakata, and he lives the kind of life a male model wishes he did. Nakata played professional soccer for a decade (primarily in Italy), appearing on three World Cup teams for Japan. Now, at the grizzled old age of 30, after retiring this past year, he travels the world. Sydney one week, New York the next - with plenty of stops in between to drop in at fashion shows in, say, Milan or Paris. All the designers seem to know him and are happy to accommodate him with a front-row seat. No more wind sprints, no more hooligans, no more locker rooms. Just the good life. クールですね。
July 02, 2007
日本は携帯先進国?
先週、米国ではiPhoneが発売されました。実際手にとってみると、携帯新時代を感じさせるデバイスでした。米国で携帯電話を持ち始めて、すでに10年が経ちました。仕事柄、今まで数え切れないくらい「日本の携帯は進んでいる」と語り続けてきました。しかし最近、僕の中では「近い将来、もしくはすでに米国の方が優れている」という思いがしてなりません。
過去日米両方の市場にて携帯電話の成長状況を見てきましたが、現在の日本の状況はグローバルな視点からは「健全な成長」とはどうしても思えません。お財布携帯などのような機能は、携帯電話事業者、小売店、金融機関が一体となって提供した素晴らしいサービスと思います。しかし、こうした日本独自の付加価値的サービス開発に躍起となっているうちに、日本以外の世界市場は全く異なった動きをしています。つまり、日本が携帯先進国としてその品質を国内だけで高めようと、多くの大手企業が人材や資産を集中的に投入した結果、全員が地球の離れ小島に島ごと移動してしまったというような感じなのです。
通話では、米国や欧州の携帯は日本では利用できません。欧米や中国で主流となっている方式に日本のキャリアが対応していないからです。僕の携帯は欧州や中国でも問題なく使えます。もちろんローミング代は請求されますが、それはそれで携帯事業者からすれば新たな収益源なわけです。データ通信では、日本では携帯メールが一般ですが、日本以外ではSMSというテキストメッセージが主流です。メールに比べて「絵文字」などの表現が足りないという声もありますが、日本以外ではそのような子供のような機能を必要としていません。それ以上に大切なこととして、SMSはGatewayや決済機関などの課金システムを経由するため、スパムが少なく、かつ企業としても別収入源としてマーケティング活動に利用できる仕組みなのです。さらに、携帯機器メーカーに関して言えば、日本製機器は日本での過酷な開発競争に全労力を注いでいる間にすっかり欧米の市場から消えました。つまり、Nokia, モトローラ、Samsung, LGなどと比較しても国際競争力が全くなくなったと言っていいでしょう。
今回はかなり辛口に書きましたが、読者の皆様には是非現実問題として心のどこかに留めておいて欲しく思ってます。米国ではワンセグ同様のサービスが着々と開始されています。そして、携帯利用者数も日本の3倍の市場です。日本での親指携帯世代と同様のSMS世代もこちらではしっかり育っています。さらに脅威なのは、日本独自の規格に固執するが故、携帯サービス周りのエンジニアが日本以外では活躍できない点です。せっかく「携帯先進国」の王冠を過去冠ってきた人材がその経験を世界で活用できないのはやはり残念ですね。そろそろ、日本の携帯関係者も「日本が一番、それ以外は数年ビハインド」という驕りを捨てて、世界市場を冷静に見てみてはいかがでしょうか?
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