July 02, 2007

日本は携帯先進国?


先週、米国ではiPhoneが発売されました。実際手にとってみると、携帯新時代を感じさせるデバイスでした。米国で携帯電話を持ち始めて、すでに10年が経ちました。仕事柄、今まで数え切れないくらい「日本の携帯は進んでいる」と語り続けてきました。しかし最近、僕の中では「近い将来、もしくはすでに米国の方が優れている」という思いがしてなりません。

過去日米両方の市場にて携帯電話の成長状況を見てきましたが、現在の日本の状況はグローバルな視点からは「健全な成長」とはどうしても思えません。お財布携帯などのような機能は、携帯電話事業者、小売店、金融機関が一体となって提供した素晴らしいサービスと思います。しかし、こうした日本独自の付加価値的サービス開発に躍起となっているうちに、日本以外の世界市場は全く異なった動きをしています。つまり、日本が携帯先進国としてその品質を国内だけで高めようと、多くの大手企業が人材や資産を集中的に投入した結果、全員が地球の離れ小島に島ごと移動してしまったというような感じなのです。

通話では、米国や欧州の携帯は日本では利用できません。欧米や中国で主流となっている方式に日本のキャリアが対応していないからです。僕の携帯は欧州や中国でも問題なく使えます。もちろんローミング代は請求されますが、それはそれで携帯事業者からすれば新たな収益源なわけです。データ通信では、日本では携帯メールが一般ですが、日本以外ではSMSというテキストメッセージが主流です。メールに比べて「絵文字」などの表現が足りないという声もありますが、日本以外ではそのような子供のような機能を必要としていません。それ以上に大切なこととして、SMSはGatewayや決済機関などの課金システムを経由するため、スパムが少なく、かつ企業としても別収入源としてマーケティング活動に利用できる仕組みなのです。さらに、携帯機器メーカーに関して言えば、日本製機器は日本での過酷な開発競争に全労力を注いでいる間にすっかり欧米の市場から消えました。つまり、Nokia, モトローラ、Samsung, LGなどと比較しても国際競争力が全くなくなったと言っていいでしょう。

今回はかなり辛口に書きましたが、読者の皆様には是非現実問題として心のどこかに留めておいて欲しく思ってます。米国ではワンセグ同様のサービスが着々と開始されています。そして、携帯利用者数も日本の3倍の市場です。日本での親指携帯世代と同様のSMS世代もこちらではしっかり育っています。さらに脅威なのは、日本独自の規格に固執するが故、携帯サービス周りのエンジニアが日本以外では活躍できない点です。せっかく「携帯先進国」の王冠を過去冠ってきた人材がその経験を世界で活用できないのはやはり残念ですね。そろそろ、日本の携帯関係者も「日本が一番、それ以外は数年ビハインド」という驕りを捨てて、世界市場を冷静に見てみてはいかがでしょうか?

2 comments:

Anonymous said...

携帯なんて、使えれば何でもいい…。
携帯先進国とかそんなこと気にして使ってない…。

Anonymous said...

携帯電話とセルフォン、野球とベースボール、広告会社とアドエージェンシー、自由とフリーダム、プライバシーとpribacy、地域とコミュニティ、、、。
同じような言葉でも、意味がちがうと感じるこの1年半です。大切なことは、自分たちのことをいろいろな角度で見続けて、子供たちにどういう社会を引き継がせるか、。そういう感覚が官民限らずどの国にも必要なことだと思いますが、日本は偏ってしまったと思います。