November 28, 2007

FCB


感謝祭も終わり、寒さも厳しくなり、ニューヨークはクリスマス商戦にすっかり火がつき始めました。テレビを見ていても、コマーシャルの質がすっかり変わっていたのも1週間ぶりにNYに帰ってきて気がつきました。今年も感謝祭の休暇を利用して、バルセロナに行ってきたのです。

このタイトルにあるFCBと料理が旅行の当然の目的でした。FCBは広告業界にいると「DraftFCB」というシカゴ拠点のIPG系大手広告代理店を想像しがちですが、僕にとってのFCBはもちろん、Futbol Club Barcelonaです。昨年同時期に観戦して以来一年ぶりのCamp Nouで今年の相手はDeportivoでした。試合は3対0の圧勝。Deco, Ronnyなどの主役は怪我でプレイしなかったけれど、Messi, Bojanなどの若手の大活躍に加え、Puyol, Xavi, Iniestaのスペイン代表トリオのSureでかつ攻撃的なサッカーで、ファンを十分楽しませてくれました。

このFCB。歴史は100年以上にもなります。スペインは悲惨な内戦を経験したのですが、カタルーニャ地域の首都としてフランコ軍に最後まで抵抗した場所です。とくにフランコはレアルマドリッドファンだったようで、マドリッド征圧後、FCBの中心でもあり、各種トロフィーを保管してあるこのCamp Nouを徹底的に攻撃してきたという話を本で読みました。このような様々な歴史を乗り越え、カタルーニャの人々の心をしっかりと捉えたまま、攻撃的なサッカーの代名詞といわれているバルサスタイルを守り続けるこの場所は、アメリカの商業的なスタジアムとは一線を画したものとして、僕の心にも深く刻まれています。

残念ながら、昨年はタイトルに恵まれなかったFCBですが、今年のメンバーで、是非ともタイトルを手に入れて欲しいと願っています。さらに、サッカーのスタイル以外にも、米国の商業主義に振り回されないような独自のマーケティングスタイルを今後も継続し続けて欲しいと思ってます。

November 21, 2007

ゴミ箱のメッセージ


米国では明日から感謝祭の連休が始まります。日本で働いていたころ、クライアントであった米系保険会社が「Thanks Givingだから仕事しないよ」と言い切っていたことを思い出します。そうなんです。この連休は日本で言うお盆のようなモノなので、実家で家族・親族と共にすごす重要な祝日なのです。ただ、僕のような家族のない移民は暇になり、人の少なくなったマンハッタンを楽しむこともできます。

さて、こうした年末行事を迎えたグランドセントラル駅も人の往来が激しくなってきた気がします。その中で、写真のゴミ箱を発見しました。黒・赤・白とシャープにデザインされたこのゴミ箱。メッセージは Glida's Clubという北米でのがん患者、経験者、そしてその家族を支える組織のものです。米国ではこのようなNPO的な組織が様々なレベルで存在し、共通のテーマを持った人たちのために情報共有や交換、さまざまなアプローチを紹介する場所を提供しています。

ゴミ箱とGilda's Club。全く何の関連性もないのですが、こうしてトラフィックの大きな場所に、公共性のある組織が公共性の高いオブジェクトに対してメッセージを添えておくというアイデアはすっきりしていて心地よいと思います。残念ながら、日本では公共のゴミ箱が少ないため、ゴミ箱は利用できないのですが、公共物を有効にメッセージング・ビークルとして利用するという発想は面白いと思います。ゴミ箱に関して言えば、「ゴミも自分の持ち物」という発想に変わりつつある日本の姿勢も、世界に誇れるモノだと思っています。

November 14, 2007

しゃべるスタンド


出張が続いていて、なかなかこのブログを更新できないのが少々残念です。が、こうして米国の都市を移動していると、新しい発見があったりして楽しませてもらうこともあります。

今回は、オハイオ州で出会ったガソリンスタンドです。写真は一見したところ、ニューヨークでも見る普通のBPのスタンドです。いつもどおり、レギュラーを選択し、ノズルを差込み、レバーを引いて給油しました。すると、写真内数字の2番の左横の場所から「BPのクレジットカードを作ろう!今だったら10ドル分無料ガス進呈!」機械的な声が聞こえました。

これもアメリカ式マーケティングのひとつなのですね。ユーザーからしてみれば、給油中に機械的な声でマーケッターからの「オファー」があっても、ピントくるはずないと思います。以前、クレジットカード会員のデータを元に、広告メッセージやクーポンをディスプレーに表示させる仕組みを考えたことがありますが、音声までは無駄だと思ったことを思い出します。米国流の競合状態を常に念頭に置き、他人と変わったことをする精神には「イノベーション」の原動力を感じます。が、時にこの精神が「だめアイデア」をも生み出すこともあります。余裕なのでしょう。

スタンドで言えば、以前米国の友人を連れて日本のガソリンスタンドに入ったことを思い出しました。数名の定員がいっせいに大声で駆けつけて、車を取り囲むその流儀に、友人は腰がすくんでしまったらしいです。確かに、何もしらないと怖いかもしれませんね。機械の声 vs 人間の声。僕は人間の方が好きです。

November 03, 2007

進化したイエローキャブ


大きなコトから小さな部分にいたるまで、ニューヨークは様々な進化を遂げていると思います。特に、Bloomberg市長に変わってからは、「なるほど」と思わせるような出来事がたくさん起こっています。ビジネスで大成功を収めた億万長者が、パブリック・セクターの中でも最もタフと言われるニューヨーク市長を的確にこなしている姿は感嘆に値します。

と、いきなりの市長礼賛でしたが、写真は最近発見した小さな部分での進化です。イエローキャブの座席に組み込まれたディスプレイとクレジットカード機器を搭載したタクシーを最近よく見かけます。巷では、タクシーへのGPS義務付け等々での反対デモが行われていましたが、実際に客として乗車してみると、これはこれで便利なのです。

まずはディスプレイ。左側には詳細な地図が表示され、車の進行状況が地図上にて一目でわかります。これが問題となっていたGPSなのかと思いつつも、乗客にとっては安心感があり便利です。右側はABCニュースのビデオが放映されてます。ESPNなどのスポーツチャンネル、NY観光案内などのビデオコンテンツもタッチパネル操作で見ることができます。タクシーの中で暇なときには役に立つ仕掛けでしょう。電気を余分に消費するためバッテリーに気をつける必要がある。と運転手が言ってたのは少し可愛そうです。

そして、左上はクレジットカードリーダーです。ようやくついたのか。というのが本音です。というのも、カード社会の米国ではあまり現金を持ち歩かないため、タクシーに長時間乗った場合、20ドルの現金が払えず近くのATMまで余分に乗ったことが何度かあったからです。そんな事がこの機器が装着されたことで、回避されるわけですね。空港から市内への移動もこれで一安心です。

とまぁ、便利になったタクシーです。が、相変わらず夕方のラッシュアワーの空車は少ないし、くさくてぼろぼろの車もまだ見かけるし、ハイテクになったのはいいですが、まだまだ根本的に改善すべきことはたくさんあると言えるでしょう。