ニューヨークとは、アメリカとは、そして日本とは。 マーケティングに関する話や人々の日常生活の中で思ったこと、考えたこと、驚いたことなどを書き留めていきます。
February 27, 2007
ストリート・ミュージシャン
冬の寒さが一段落し、少しずつ暖かになってきました。ランチの後、ぶらりと散歩していたところ、久々にナイスなストリート・ミュージシャンを見つけました。以前に書いたテーマ「不快な地下鉄」の中で軽く触れたストリート・ミュージシャン。通常は嫌いな部類に入ります。というのもパフォーマンス自体「凄い!」と思わせてくれないのにお金を要求するからです。
しかし、写真の今日のミュージシャンは違いました。まずセンスがよい。肌の色、服の色、ベースの色、帽子がすべてマッチしていてカカオマスチョコレートみたいで二重丸でした。次にベース。写真のような6弦ベースを弾いている人をはじめてみました。見ているとギターと同じような左手の使い方で、ベースの旋律を弾いていて、とても不思議。そして最後はテクニック。ファンク、Acid Jazzっぽいベースソロはなかなかのものでした。とにかく一目で気に入ったこのミュージシャンを応援すべく、白いバケツにおひねりを置いてきました。
正直、ニューヨークのストリート・ミュージシャンのパフォーマンスは過去ほとんど無視してきました。が、今日は久々に「当たり」と遭遇でき、暖かくなった気候も重なって少しハッピーになったアフターランチでした。
February 24, 2007
アリゾナ州フェニックス
ボストンでの仕事を終えた翌日、今度は飛行機で5時間の場所アリゾナ州フェニックスへの出張となりました。グランドキャニオンに程近いフェニックスは車で少し走ると、砂漠+岩肌+サボテン+台地+大地といった大自然を目の当たりにすることになります。日々数千人規模で増加していく人口を支えるために、公共交通機関、建物、スポーツ施設、住宅、モールなどの社会基盤の充実が急ピッチで行われている景観は、ニューヨークとは種の異なる勢いを感じ、リアルなSim Cityを体験した気がしました。ちなみに人口は150万人強でして、全米で第6位の都市のようです。
仕事では地元の放送局と情報共有を目的とした打ち合わせが中心でした。急成長中の都市を代表する独立系放送メディアとして、肩肘はらずに様々なチャレンジを実行している姿に学ぶべきものは多かったです。地域貢献に主題を置きつつ、メディア企業としての体質強化、マルチチャネル環境変化への積極的な対応等、シンプルなことをしっかりと積み重ねている姿は日本のメディアも学ぶべきことがあると思いました。
冬でも20度位の暖かさ、夏場には40度近くにもなるこの地で、プロスポーツのほぼすべての種類の球団が存在していることも興味深いです。野球では、ワールドシリーズで優勝経験のあるダイアモンドバックスがあり、真夏の試合では暑くて大変だろうと思っていたところ、巨大なドーム式のスタジアムは当然冷房完備でした。アメリカンフットボールでは、University of Phoenix Stadiumという命名権のついたドーム型スタジアムも驚くような大きさで平原の中に建てられてます。ちなみにこの大学はオンライン授業を真っ先に取り入れた業界ではとても有名な大学なのです。
東海岸、そしてサンフランシスコやLAなどのすでに大都市として成熟してしまった場所では見られない、急成長していく米国都市のダイナミズムを簡単に味わえる場所として、このフェニックスが少し気に入ってしまいました。
February 19, 2007
ボストン
今日19日はPresident Dayという祝日でした。相変わらず寒い3連休だったのですが、火曜日の午前中にボストン郊外にある会社との打合せのため、前泊すべく昼過ぎに車で出発し、今は郊外(Waltham)にあるホテルからです。写真は3時間半のドライブ途中に試しに撮影してみた写真です。(思ったより良く撮れていたので掲載してみました)
アメリカに来てから10年以上ニューヨークにいる僕にとって、ボストンは少々ややこしい場所です。古い街並みや路地、ハーバードやMITなどのアカデミア等々、ニューヨークにはない特色がある米国では稀な都市だと思ってはいます。ただし、心から「ボストンは素晴らしい!」と言えない理由を少なくとも2つ抱えています。
まず最初は野球。Joe Torre監督就任前にニューヨークに来てそのまま、ヤンキースファンになってしまった僕にとって、ボストン・レッドソックスというのはいつも気になる存在なのです。数年前のボストンは、ペデロ、マニー・ラミレス、ディビッド・オーティス、ジョニー・デーモンなどなかなか味のあるプレイヤーを抱えていて、ライバルながらあっぱれな球団でした。今はメンバーが変ってしまい、ライバルとしての面白みがかけたのは事実です。でも、ファンは相当なアツさでして、ボストンの会社と仕事で打合せがあると必ずや野球の話になり、レッドソックスの帽子を無理やり持ち帰らされたりします。
次は「白さ」です。ボストンを中心としたマサチューセッツ州は米国でもニュー・イングランドと呼ばれ、英国の影響を最も受けている地域として考えられています。それ故、英語のアクセントも少々イギリス風になっていたりするのが、この土地の人の自慢です。下手な英語でも構わないニューヨークとは異なり、アクセントの違いや英語のおかしさを過去何度か指摘された場所です。(英国人からすればおかしな「米語」なのに困ったものです)同時に、白さを感じさせる場所です。今日はこの郊外の商店街のバーで夕食を食べたのですが、私以外の客、店員も含めてみな白人でした。アジア人も黒人もいない店は、ニューヨークではいたって特別な場所なので、やはり居心地の悪さを感じてしまいました。
まぁ、こうした感情はニューヨーク在住者には当然なわけであって、今日のように郊外に来ても、実はあまり気にしないのもホンネです。というのも、ニューヨークに比べ人々が素朴であたりが柔らかと言った、いい面もたくさんあるわけですから。
February 14, 2007
バレンタイン デー
今日は2月14日。バレンタイン・デーです。小学校の頃、「下駄箱にチョコレートが入ってないかな?」「机の中に置かれてないかな」など、ありもしないことを想像しながら一日中わくわくしていたコトを思い出します。
このバレンタインデー、歴史をさかのぼると西暦500年ごろに法王がすでに命名しているそうで、米国には1850年頃に輸入されているようです。どこそこの代理店がクライアントとつるんで勝手に造った記念日だと思っていたのですが、実はしっかりとした歴史があったのですね。
こちらに住んでから、バレンタインデーの定義が日本と若干異なることを知りました。多分日本が少々ねじれているのかもしれません。こちらでは仲良し同士がロマンチックに過ごす日とみなされ、カップルであれば男女、男同士、女同士かまわず花やカード、プレゼントの交換をし、ディナーを楽しむ。そんな日となってます。特別メニューを用意しているレストランも多く見かけます。いたって分かりやすい記念日だと思います。
今年のバレンタインデー。ニューヨークでは雪に見舞われました。「きっとレストランのキャンセル多いんだろうな?」などと、余分なことを考えながら、滑りやすい雪嵐の5番街を歩いているとH&Mのウィンドウディスプレイ(写真)を発見しました。外の天気を全く無視したマネキン女性の下着姿、なんだかやる気がなさそうですね。
February 12, 2007
謎のスポーツバー
お酒が大好きな僕は、ニューヨークでゆっくりお酒を楽しめる場所を過去探してきました。探し方が甘いのか、僕の望んでいる店が本当にないのか、好みのバーがなかったのは残念なことでした。ところが最近、妙に気になるバーを見つけ、そこに通い続けています。
写真のNevada Smithsがそのバーなのです。ダンディな雑誌に出てくるような「奥深く、気心の高いバーテンがマンハッタン最高のカクテルを作るその至福の時云々」などとは180度異なる単なるスポーツバーなのです。アメリカのスポーツバーすべてに対してアレルギー的に嫌っていた自分にとって、何故これほどまで通うようになったのか?
すべてバルセロナ旅行が原因です。FCバルセロナの試合を間近で見て以来その熱病は続いていて、ニューヨークでもバルサの試合をライブで見られないか画策してました。そんな折このバーを発見したのです。ここはバルサ応援団のNY支部らしいのですが、中に入るとバルサ以外に、「アーセナル」と「チェルシー」の大きな旗が飾られており、それぞれのファンが集まる場所となっていました。週末は、熱心なファンが一杯5ドルのビールを片手にマイチームを応援する「欧州サッカー狂御用達スポーツバー」なのです。
時差の関係上、欧州現地にて夜の試合はNYでは昼間や午後のキックオフです。1階と地下にて合計10台以上のスクリーンを配置し、アーセナル、チェルシー、バルサなどの有名チームのファンがその試合の時間に合わせて集まり、楽しみ、そして帰っていきます。英国アクセントの本当の英語、カタラン訛りのスペイン語が飛び交うその空間に、これからもしばらく通うことになりそうです。
February 08, 2007
電話会社の名前
日本では携帯MNPの騒ぎが一段落した頃でしょうか。ここ米国は、携帯電話技術や機器の進化は日本に比べ完全に遅れています。ですが、MNP(こちらではLNP)はすでに3年以上前に実施されていたり、かつ携帯電話-固定電話間でのMNPも実施されていたりと、消費者が本当に望むサービスは実はかなり早くから行われていました。
この10年間、インターネットや携帯電話のおかげで世の中いろいろ変りました。同時に商品やサービスを提供している会社や企業も大きな変化を続けています。面白いのが電話(携帯電話)会社の変遷です。僕が利用している固定電話会社の場合、全く同じサービスなのに10年程の間に3回会社名が変ってます。当初は「New York Telephone」、その後「NYNEX」、そして現在は「Verizon」という名称となりました。
携帯電話に関しては、LNPにて携帯電話会社を変えて以来この4年間で「AT&T Wireless」、「Cingular」、そして「at&t」という具合です。写真はCingularの小売店ですが、ポスターやPOPなどでじわじわ新「at&t」へのブランド・トランジションを仕掛けています。この「Cingular - at&t」話は、M&Aが盛んな米国なので納得できますが、理解できないことが一つあります。それは、名前です。そもそもCingular社の方が会社の規模が大きく、ディールとしてはCingular社がat&tブランドを買収した形でした。が、存続ブランド名はat&tとなるのです。今まで、こうした事例は珍しいはずです。これは、アメリカ人のat&tというブランドへの憧憬なのでしょうか?企業名を変えることは、CIの観点、ブランディングの観点、さらにNaming Rightsとして球場名などに利用されていたりすると何かと大変なんですけども。
February 05, 2007
スーパーボール
この国でこの業界にいる以上、今日はスーパーボールを話題にしなければ。といった義務感があります。個人的な興味はさほどありませんが、10年以上も前、僕がまだNYに来て間もない頃、ニューヨーク生まれの友人から「スーパーボール・パーティーするから来れば?」と誘われたのが始まりでした。夕方からその友人の自宅に集合し、ビールを片手にピザを食べ、試合前のショーまでにすっかり酔いが回り、最後まで試合を見たかどうかすら覚えていない、謎のパーティーだったってことは覚えてます。
Anyway,今年はインディアナポリスが優勝し、黒人監督が率いるチームとしては史上初というめでたいストーリー付きでした。試合結果と同時に(もしくはそれ以上)話題となるのが、その時間帯に流されるコマーシャルです。今年も常連のバドワイザーをはじめとして、飲料、車などなど多くの広告主からのコマーシャルが放映されました。
翌日のニュースでは、コマーシャルについて「好ましかった広告」、「好ましくなかった広告」などの評価が話題となります。ちなみに今年は、バドワイザーの評価が全体的に高いようです。話題性という点では、フリトレー社のDoritosが試みた素人制作コマーシャルに注目が集まりました。昨年秋から始まったこのキャンペーンでは、素人が広告を制作し、一般投票による厳しい選考会を経て最終的な勝者の広告がスーパーボールにてオンエアされるというアイデアでした。その他、GMのシボレーなども同様の試みをしてました。
CGMやCGCなどと呼ばれ、日本では消費者参加型○△という言葉が頻繁に聞かれる今日この頃、その本場米国にてついにコマーシャル界の桧舞台「スーパーボール」にたどりついたのはとても興味深いです。何せ、30秒コマーシャルの広告枠コストが約3億円。つまり1秒当たり1千万円の投資に利用してしまうという潔さですから。とはいえ同時期に、MTVなどのメディア企業がYouTubeに対して、自社のコンテンツを無断使用しているビデオを10万本以上強制削除させたというニュースもあり、この先一般消費者を取り巻く動画環境は二転三転していくのでしょう。
February 02, 2007
American Idol の楽しみ方
素人が自慢の歌を披露し、厳しい審査を経てメジャーデビューするという人気番組「American Idol」は、すでに6回目を迎えています。初回から現在に至るまで、番組のスタイルや審査員に全く手を加えなくとも依然として平均20パーセント程度の高視聴率を維持しているのは大変驚くべきことだと思います。
この番組は、審査員のテーブルの目立つ位置にCokeのカップを置くといった、トラディショナルな「ブランデッド・エンターテイメント(プロダクトプレースメント)」や携帯電話会社のCingular(現在AT&Tにリブランディング中)と提携し、視聴者にSMSにて勝者を投票させ、視聴者投票の結果も最終審査結果にリアルタイムに反映させるといった試みで、マディソン街の話題となっていました。
僕はこの番組は好きな部類であり楽しんでます。ライブではなくTivoにためておいたモノを後でまとめてみるのに最適なコンテンツなのでしょう。特に気に入っているのが本選に入る前の予選オーディションです。全米の数都市にて予選会を開き、そこで勝ち残った人たちがハリウッドの本選に出るしくみとなってます。合格した人、落選した人、それぞれのパフォーマンスや審査員とのやりとりを早いテンポでまとめている編集はなかなかウマいです。そして予選参加者それぞれに、開催地ならではの特色が表れている点がとても興味深いのです。
ニューヨーク大会ではさすが競争社会。あたりが強い!つまり、自己主張が激しく、落選しても審査員に食って掛かる魂。なかなか見事でした。一方、アラバマ州での予選では、不合格と言われてもあっさい笑顔でThank you!といえる人たち。英語のアクセントもここNYとは異なってます。そして、どんな地域でも共通して言えることは、歌の上手下手にかかわらず、素人一人一人の中に「個」の輝きと強さが宿っているいることでしょう。同じことを日本で行うと、皆、口を揃えて「よろしくお願いしま~す。がんばりま~す!」のオンパレードとなるのは簡単に予想できてしまいます。
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