May 30, 2007

食文化


大食いで早食いの僕は、食べることが大好きです。(食べることが嫌いな人はいないと思うのですが)アメリカの食事は大きくてまずいと一般的に言われてますが、ほぼ正解と言えるでしょう。「食は文化」とはよく言ったもので、欧州や日本などのアジア諸国に比べて、こちらの食事はかなり「あさい」と思います。以前読んだ本, The Culture Codeにて、フランス出身の学者が米国での食事を「Fuel」と言ってました。まさに言い得て妙です。

そんな米国ですが、ここニューヨークは若干状況が異なります。「人種のるつぼ=食事のるつぼ」でもあるわけで、日本食をはじめ世界各国の料理がその国のオリジナル性を維持したまま楽しめる環境にあります。さらに○△料理という選択肢だけでなく、レストランでも食材店でも、ベジタリアン、宗教による食材の制限、アレルギー体質などの個々の状況に応じてさまざまな選択肢やオプションが用意されているのが普通となっています。

日本の「食」と比べた場合、日本は確実においしいです。ただし、実は選択肢が限られていると思ったこともあります。たとえばベジタリアン用のメニューがない。とか、料理素材の情報がわからない等です。ニューヨークで食事をする際、メニューの中で使われている素材を一つ一つ確認することがあります。こうすることでアレルギー体質や宗教的制限を確認するわけですね。食べる側と作る側のインタラクションが、日本では若干欠けていると思います。

さて、写真はとあるサラダバーでのランチ時のものです。ニューヨーカーがランチで普段食べているものの一つの例と言えるでしょう。彼が食べているのはイチゴです。イチゴをスーパーで1パック買って、それをそのまま洗わずに食べています。依然勤めていた米系企業では、同僚がスライスされたスイカを食べながら会議室に入ってきて会議をしたことも思い出しました。フルーツだけのランチ、スープだけのランチ等々、それぞれの好みで忙しくFuelをRefillする感覚なんですね。

May 25, 2007

Made in Japanへの期待


先日、ニューヨークのJapan Societyにて開催された、石原東京都知事の講演を聞いてきました。「日米関係」を主題として、軍事、技術力、経済の3分野からの話は、マイノリティとして米国に住む僕にとっては心地の良いものでした。日米間の様々な事柄が「米国→日本」の一方通行になっている状態に懸念し嫌悪していた僕にとって、都知事の「日本だってすごい」話は爽快かつ深く心に響きました。

興味深かった話の一つに、日本の優れた技術力の話がありました。車やデジカメなど、目に見える部分での日本製の製品力は世界規模で評価されてます。都知事は、異なった視点にて、軍事にも利用可能なマイクロチップやLCDなどの要素技術や部品の優位性を強調してました。たとえばボーイング社の新機種787では、半分以上が日本製の部品や技術を利用しているようです。

気温が30度を超え夏の気配を感じた今日、都知事の講演を思い出しつつ、目に見える製品で日本製が優れていると思えるモノを改めて考えてみました。やはり家電は強く、薄型テレビ、DVDプレイヤーなどのAV製品などがその代表です。さらに米国では流通してない製品で確実に日本製が強いモノもあります。写真は部屋用のエアコンですが、こちらで売っているモノは重い、やかましい、電力消費が大きいの3重苦です。日本製はその逆でしょう。さらに、掃除機、洗濯機なども同じ分野になるはずです。ところが、いい話ばかりだけではなく、悪い話としては携帯電話機がその代表と言えるでしょう。米国の携帯は確実に発展しています。米国での携帯機器では、日本製はすっかり取り残されました。世界規模で考えた場合、日本の携帯電話業界はグローバルな流れからすっかり取り残された状況と思えるのが残念です。

May 22, 2007

グリーン (1) - スーパーの試み


ここ数ヶ月、米国のテレビ・新聞・雑誌などのメディアでよく話題になったり、広告にも扱われるテーマが「グリーン」です。原油の高騰からガソリン代を含め物価全体が上昇しているからなのか、それともこのテーマが選挙にとって都合がよいのか、自然や環境保護をテーマとした「グリーン」コンセプトが大人気です。このブログを開始した当初に取り上げた話題でもありますが、今後も不定期にグリーン特集を展開していこうと思いました。

大きな理由として、島国で育った私にとって「グリーン」は当然のテーマであり、今の米国の現状を見るとどうしても「本気なのか?」と首を傾げたくなるからです。むしろ「どうせポーズなんだろう」と思い込んでます。京都議定書に経済大国として唯一参画していない米国が、どうして今「グリーン」ブームとなっているか、僕自身も疑問でもあるため、街を歩きながら気になった事柄を取り上げて考えてみます。

写真は私の好きなスーパーの一つ Whole Foodsにあった「仕分けゴミ箱」です。ニューヨーク市では、実は5年以上前からゴミのリサイクルを市民に訴え続けてきました。青や緑などのゴミ箱の色にてゴミの分別を実施してましたが、内容がわかりにくくかつ徹底してないため、「本気なのか?」と当然思ってました。そんな中、このWhole Foodsのゴミ箱を見かけ、やはりこうでないと。と思った次第です。実際のサンプルを展示するだけで、すかっとわかりやすくなるのですね。ゴミの投入口の形を変えていることにあまり意味があるとは思いませんが、スペースを割いて実際のサンプルを提示させるだけで理解度が確実にアップします。

人種や生活水準の幅がかなり大きなニューヨークだからこそ、こうしたわかりやすいアイデアは貴重だと思います。僕の静岡の実家ではペットボトルは4種類くらいの分別ゴミに分けられます。これをアメリカで実施しようとしたら間違いなく失敗するでしょう。まずはこの写真のレベルから始めることが必要なんですね。電車で30分ほどのコネチカット州のとある都市では、スーパーのビニール袋利用を禁止したところもあり、スーパーを取り巻くレベルでは「グリーン」は徐々に実践されているかもしれません。

May 19, 2007

買収合戦


今週の米国インタラクティブ業界は、大きな企業買収劇が続きました。ニューヨーク拠点のインタラクティブ・エージェンシー 24/7 Real Media社が広告会社グループのWPPに700億円強にて、そしてシアトル拠点のインタラクティブ・コングロマリットのaQuantive社がマイクロソフト社に7000億円強にて買収されました。それ以前にも図(資料提供:wsj.com)に示されているように、DoubleClick社がGoogle社に、RightMedia社がYahoo!社にと業界の大手企業のM&Aがここ数ヶ月で起こってます。

これら渦中の企業にて以前働き、今でも深くこの業界に関係している僕にとっては、とても興味深い週とも言えたでしょう。買収額の妥当性といった話はウォール街の人たちに任せ、買収のメリットやその結末予想はディーるの詳細がわからないことには何とも言えません。かつてWeb1.0と呼ばれる時代に買収した側の企業で働いていた経験から、買収後のインテグレーションで重要となるポイントをちょっと考えてみました。

①事業(コアビジネス)のインテグレーション
事業内容でのシナジーは最も重要なIssueと思われます。その点で「MS-AQNT」は他に比べて弱いでしょう。以前、MSがゲーム内広告配信企業のMassive社を買収しました。コアビジネスが全く異なる2社でしたが、MSのコントロールが強まった結果、Massiveにいた友人達が少しずつ辞めていったことを思い出します。巨大ソフトウェア企業と広告関連技術会社、一見シナジーを見出せそうな関係ですが、実際は異なると思ってます。

②企業文化のインテグレーション
次に重要なのは企業文化などに見る人的な側面でしょう。事業統合に意味がある他3例では、「GOOG-DCLK」と「YHOO-RM」が良いのではないでしょうか。Google、Yahoo!両社とも企業文化の構築・維持に対する努力と投資を積極的に行っています。さらに、GOOG-DCLKはお互いのビジネスの補完関係が強くかつNYオフィスが同じビル内、YHOO-RMではすでに業務関係と資本関係が築かれていた等の要素があります。

以上、過去の経験から勝手な推測をしてみました。あと、こうした買収時に必ず話題となるのが雇用調整(レイオフ)です。私が思うに、今回はどの例においても派手なレイオフはないはずです。この業界は成長路線にありとにかく人材が不足してます。完全なマージではなく、独立ブランドとして共存させる形態をとる場合、余剰人的リソースを抱える買収側が買収先に流入させる逆のシナリオが発生するかもしれないでしょう。

May 15, 2007

Upfront でのキーワード


マディソン街はいつも忙しいのですが、特にメディア/広告業界関係者にとって5月のこの時期と11月のAdweek週は特別に活気が出てきます。まさに今週「Upfront」と呼ばれる、秋にかけてのの番組編成と方針に関して、米国のネットワーク放送局がマーケッターや広告代理店に対して発表するイベントがいたるところで開かれます。そこで発表される内容は、例えば「NBCはドラマの本数を減らし、リアリティショーやクイズを増やす」等々といったところです。

この週に関連してなのか、テレビスポット枠での自局ハウス広告やネットワーク放送局の屋外広告を数多く見かけます。写真もその例で、業界最大手の一つNBCのモノです。この広告、何の工夫もないPPTのプレゼンのように見えますが、このキーワードに僕はとても興味を持ちました。target, lead, innovate, engage, measure。今まではおよそ放送局とは縁遠かった単語でしょう。この業界にいた人はすでに気づかれたと思いますが、これらはダイレクトレスポンス型広告に頻繁に利用されていた言葉であって、いわゆるマス媒体に対して当てはめることはナンセンスだったはずです。

ここ1,2年間のメディアを取り巻くマルチチャネル化、マルチデバイス化は目を見張るものがあります。そして、米国放送業界もこの大きな流れに本腰を入れて投資や舵取りをはじめていることを様々な局面で認識してきました。そして今年のUpfront。ついに大手放送局も、ダイレクトレスポンス的な発想を「マス」と言われ続けてきた媒体に対して取り入れようとしているのでしょう。たとえそれがまだ先の話であっても、着手することに大きな意味があります。消費者のメディアに対する接し方が変化してきた昨今、ケーブル局含め全米総広告費の45%を占める放送媒体。この大きな母艦の行方を今後もしっかりと追っていきたいと思ってます。

May 10, 2007

MLBの中のアメリカ


僕は野球も好きだし、もちろんヤンキースのファンでもあります。MLBシーズンが始まると、ヤンキースの試合結果をトラックする日々となります。米国に来てMLBが身近になってはじめて、スタジアム観戦の楽しさを知ったのかも知れません。米国内の出張先でもMLBの試合があれば、知らないチームであっても足を運ぶようにしてます。

スポーツエンターテイメント自体とてもアメリカっぽいのですが、中でも毎試合必ず2回、アメリカを感じさせられる瞬間があります。最初は試合開始時の国歌斉唱。次が7回表終了後のGod Bless America斉唱です。試合開始時の国家斉唱は「野球を国技」的に扱う米国では当然のことで、他のプロフェッショナルスポーツ、それ以外の様々なスポーツイベントでも行わる儀式であり、米国に住む以上違和感はありません。困ることが、7回表終了後のGod Bless America斉唱です。

2001年9/11のテロ事件後数週間の間、MLBの試合は全米で中止されました。再開後ニューヨークでの最初の試合は、新庄選手が左翼を守るNY Metsでのホームゲームで、幸運にもチケットが入手できました。超満員のShea Stadiumはある種異様な雰囲気で、軍隊の入場行進から始まり、アメリカ国旗が乱れ咲く中、野球が行われたことを思い出します。そして、この時から7回表終了後にこの歌を流し始めたのです。歌が終わった後、「USA, USA, USA...」というコールが球場全体に響く中に身を置きながら、寒気と不快さを感じたことは今でも覚えてます。

歌詞も「神はアメリカを、そしてその大地を祝福し...」という内容で、一神教の環境で育っていない私にとっては、なかなか理解しがたいもの。さらに、「戦争に出かけた兵士のために...」などと前置きをされてしまうと、より???となってしまうのが本音です。いつまでこの儀式が続くのか、早く終わって欲しいのが本音です。まぁ、こんな難しいことを考えなくても、Wang投手や松井選手などのアジア出身選手が活躍してくれれば、それでHappyなんですが。

May 07, 2007

Rockefeller Center パブリック ゴルフ コース


5月の陽気がとても心地よいニューヨークのミッドタウン。あの有名なロッカフェラーセンター広場に突如出現したのがこのゴルフコース。今週末にフロリダで開催されるPGAツアーのTPC(THE PLAYERS Championship)のプロモーションイベントとして設営されました。写真の会場はTPCの名物17番ホールを再現し、一般の参加者が自由に挑戦できる仕掛けとなっています。

冠スポンサーは投資銀行のUBS。メディアパートナーであるNBCのお膝元ロッカフェラーセンターで、その他の協賛も含めた形でこのイベントは月曜の今日からツアー最終日の13日まで開かれます。昨年は開催地のフロリダで同様のイベントを実施したところ、約5万人の参加者があり、そのうちグリーンに1オンできた確率は15%程度とのことです。ニューヨーク初開催での結果が楽しみです。

早速僕もチャレンジしてみたのですが結果はショート、池ポチャでした。グリーンに乗せればスポンサー(Callaway)のボールセットが賞品です。はずしたとしても、実際のショットのビデオ(写真手前のスタッフがPCカメラにて撮影)を、後でレビューできるようなWebサイトを準備してます。僕の場合、プレーした30分後には登録したEメールアドレスにログイン情報が届けられ、自分のスイングのビデオと共にUBSのPre-Rollビデオ広告が流れます。

こうした仕掛けがあればEメールアドレスや住所などの情報を登録した価値があるでしょう。オフラインとオンラインを結ぶ「エンゲージメント」という点では手本となる仕掛けと言えます。つまり、半歩進んで「エンゲージメント」を考え、実施していかないと、マーケッターとして合格点とはならない時代になってきているようです。