May 19, 2007

買収合戦


今週の米国インタラクティブ業界は、大きな企業買収劇が続きました。ニューヨーク拠点のインタラクティブ・エージェンシー 24/7 Real Media社が広告会社グループのWPPに700億円強にて、そしてシアトル拠点のインタラクティブ・コングロマリットのaQuantive社がマイクロソフト社に7000億円強にて買収されました。それ以前にも図(資料提供:wsj.com)に示されているように、DoubleClick社がGoogle社に、RightMedia社がYahoo!社にと業界の大手企業のM&Aがここ数ヶ月で起こってます。

これら渦中の企業にて以前働き、今でも深くこの業界に関係している僕にとっては、とても興味深い週とも言えたでしょう。買収額の妥当性といった話はウォール街の人たちに任せ、買収のメリットやその結末予想はディーるの詳細がわからないことには何とも言えません。かつてWeb1.0と呼ばれる時代に買収した側の企業で働いていた経験から、買収後のインテグレーションで重要となるポイントをちょっと考えてみました。

①事業(コアビジネス)のインテグレーション
事業内容でのシナジーは最も重要なIssueと思われます。その点で「MS-AQNT」は他に比べて弱いでしょう。以前、MSがゲーム内広告配信企業のMassive社を買収しました。コアビジネスが全く異なる2社でしたが、MSのコントロールが強まった結果、Massiveにいた友人達が少しずつ辞めていったことを思い出します。巨大ソフトウェア企業と広告関連技術会社、一見シナジーを見出せそうな関係ですが、実際は異なると思ってます。

②企業文化のインテグレーション
次に重要なのは企業文化などに見る人的な側面でしょう。事業統合に意味がある他3例では、「GOOG-DCLK」と「YHOO-RM」が良いのではないでしょうか。Google、Yahoo!両社とも企業文化の構築・維持に対する努力と投資を積極的に行っています。さらに、GOOG-DCLKはお互いのビジネスの補完関係が強くかつNYオフィスが同じビル内、YHOO-RMではすでに業務関係と資本関係が築かれていた等の要素があります。

以上、過去の経験から勝手な推測をしてみました。あと、こうした買収時に必ず話題となるのが雇用調整(レイオフ)です。私が思うに、今回はどの例においても派手なレイオフはないはずです。この業界は成長路線にありとにかく人材が不足してます。完全なマージではなく、独立ブランドとして共存させる形態をとる場合、余剰人的リソースを抱える買収側が買収先に流入させる逆のシナリオが発生するかもしれないでしょう。

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