May 15, 2007

Upfront でのキーワード


マディソン街はいつも忙しいのですが、特にメディア/広告業界関係者にとって5月のこの時期と11月のAdweek週は特別に活気が出てきます。まさに今週「Upfront」と呼ばれる、秋にかけてのの番組編成と方針に関して、米国のネットワーク放送局がマーケッターや広告代理店に対して発表するイベントがいたるところで開かれます。そこで発表される内容は、例えば「NBCはドラマの本数を減らし、リアリティショーやクイズを増やす」等々といったところです。

この週に関連してなのか、テレビスポット枠での自局ハウス広告やネットワーク放送局の屋外広告を数多く見かけます。写真もその例で、業界最大手の一つNBCのモノです。この広告、何の工夫もないPPTのプレゼンのように見えますが、このキーワードに僕はとても興味を持ちました。target, lead, innovate, engage, measure。今まではおよそ放送局とは縁遠かった単語でしょう。この業界にいた人はすでに気づかれたと思いますが、これらはダイレクトレスポンス型広告に頻繁に利用されていた言葉であって、いわゆるマス媒体に対して当てはめることはナンセンスだったはずです。

ここ1,2年間のメディアを取り巻くマルチチャネル化、マルチデバイス化は目を見張るものがあります。そして、米国放送業界もこの大きな流れに本腰を入れて投資や舵取りをはじめていることを様々な局面で認識してきました。そして今年のUpfront。ついに大手放送局も、ダイレクトレスポンス的な発想を「マス」と言われ続けてきた媒体に対して取り入れようとしているのでしょう。たとえそれがまだ先の話であっても、着手することに大きな意味があります。消費者のメディアに対する接し方が変化してきた昨今、ケーブル局含め全米総広告費の45%を占める放送媒体。この大きな母艦の行方を今後もしっかりと追っていきたいと思ってます。

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