March 24, 2009

壁画


先日SOHOとチャイナタウンの接点あたりを歩いていたら、写真のような光景にぶつかりました。マンハッタンによく見かける、ビル壁全体のビルボードです。今まで、さまざまな壁画ビルボードを見てきたのですが、ここまでビビッドに制作中のモノはなかったので、思わず写真を撮ってみた次第です。

これは、新しく発売されるゲームソフトの広告です。ゲームに全く疎い僕ですが、絵を見た瞬間に多分ゲームだろうと推測できたのは、やはり何かそう感じさせられるものがあったのでしょう。ちなみに、よく見てみると下の部分にNINTENDO DSと書いてありました。

確かに、この場所はチャイナタウンに程近い、SOHOの一角でしたが、見事にこのゲームのタイトルとリンクしている場所に描かれていたのが印象的です。さらに、この日もかなり寒かったのですが、このハイテクの時代、寒風に吹かれながら手作業で壁画ビルボードを少しずつ描いているアナログ感は気に入っています。もちろんこれだけの大きなキャンバスに正確な絵を描くので、投射などのテクノロジーは駆使しています。でも塗装は手作業なのですね。こうしたアナログな部分はいつでも持ち続けていきたいものです。

March 20, 2009

大統領 in the Tonight Show


テレビはあまり見ないのですが、ニュースや好きなスポーツを除いて、なるべく見ようと思っている番組に「トークショー」があります。特に、夜11時半過ぎからはじまる、CBSのDavid Letterman Showは時間ができれば見るようにしています。裏では有名なJay Lenoの番組もあるのですが、Lettermanのニューヨークらしさが僕は好きです。

でも昨晩は違いました。オバマ大統領がLenoの番組に出演すると聞いていたからです。残念ながら、夜中までLower East辺りで飲んでいたのでライブでは見られなかったのですが、今ではいろいろな方法で再視聴ができます。一晩明けた今日に、Huluを利用してじっくりみました。写真がその様子です。

25分間の対談、なかなか見ごたえがありました。時間の3分の2は、仕事の話を中心に、現在最も話題になっている、AIGのボーナス問題に関しての説明や、不景気を今後どう対処していいくのかを、Jayの軽快なトークと共に、わかりやすくかつ的確に説明しました。残りの3分の1では、プライベートに関してこれもJayのWitのある質問に対して、さわやかにかつクリアな答えを返しており、あっという間の25分間でした。ちなみに、ボーリングのスコアは129程度だそうです。

こうしたトークショー、もちろん台本はあるので、話す内容は事前に決まっているわけです。ただ、ホストが話題をわざと脱線させたりするテクニックが絶妙で、そのときにゲストが見せる態度や表情にて、そのゲストの人となりがわかってとても面白いのですね。日米しかテレビの番組のことは知らないのですが、こうした番組が日本にはゼロというのが残念です。まぁ今の日本のテレビ状況ではどうにもならないのであきらめてはいます。

March 18, 2009

みどりの日


昨日17日は、ニューヨークが緑色に染まる日でした。アイルランドでは国民の祝日にあたるこの日は、アイルランドを祖先とする住民が多い各地域では、祝日になったり、お祭りを行ったりする世界的な記念日「Saint Patrick's Day」なのです。米国でももちろん盛んで、ここニューヨークもバグパイプ隊が登場するパレードが5番街で派手に行われます。

写真はたまたま乗っていた地下鉄内の様子です。こうして、派手に「緑色」を強調しながら、「パレードモード」全開のグループもいれば、ワンポイントで緑色のアクセサリーや洋服を着て、地味にお祝いする人たちも多く、とにかくマンハッタンが緑色になる日ですね。もちろん、エンパイアのビルの灯りも緑です。夜は夜で、酒好きが繰り出し、普段から緑色っぽいアイリッシュパブにて大騒ぎする夜です。

静岡生まれで純アジア人の僕は、全くアイルランドには関係ないのですが、前に勤めた会社で世話になった社長がアイルランド系(O'Cornnor氏)だったし、NYに来たばかりの頃、無謀にもアイルランドから来た人たちと酒飲み大会をして「全敗」した経験からも敬意を表してお祝いしています。確かに、この酒飲み大会は無謀だったと今でも反省はしてますが。。。そんな僕は、普通に緑のパーカーを着て会社にでかけ、仕事仲間と地味に辛めの四川料理で酒を飲んだ一日でした。

March 13, 2009

うちわに付き取扱注意


広告業界にいるものの、ストーリーボードやコピーを書くようなクリエーターではない僕です。とはいえ、ビジネス開発という立場から、何か面白いことや「おおっ」と思うことはないのか?と日々考えていたりはしています。

そんな中、写真のダンボールを発見して思わず立ち止まってしまいました。多分、中身は普通の物品で、たまたま箱を使いまわしてFEDEXするのでしょうが、「うちわに付き取扱注意」とはいったい!?と絶句したわけです。そもそも「取扱注意」とは、中身が高級な精密顕微鏡だとか、割れやすい材質のものなどの時に使われていたはずなのに。。。今の日本では「うちわ」もそれと同様の扱いなのか?もしくは、天皇家に奉納するような超高級うちわなのか等々、いろいろ思いをはりめぐらせたのです。

結局答が出るわけでもなく、FEDEXのお兄さんに運ばれていく運命の箱ですが、僕の頭にはこの不思議なフレーズだけが残ってます。でも一歩進んで考えてみると、こうして「何気ないフレーズの中に、忘れられないメッセージが入っている」ってことは、広告やマーケティングの世界ではとっても重要なことでしょう。特に、「うちわ」と「取扱注意」という関係が全くないような普通の単語を組み合わせることで、メッセージ力が急に付いたわけですね。これは、完全にクリエーターの分野と言えるフレーズでしょう。

と、たまたま目に入った段ボール箱ですが、結構楽しませてもらいました。しかも、適度に力が抜けているフォントもなかなかすばらしく、すべての拍子抜け度合いがたくみでした。

March 10, 2009

リブランディング


理由を聞かれても、全く持ってしっかりした答えがないのですが、僕はPepsiの方がCokeよりも好きです。2番手の悲哀に同情しているのか、もしくはロゴや響きが単純に好きなのか自分でもよくわからないのです。

最近、そのPepsiがブランドの再構築を行いました。写真はそのキャンペーンの一つで、NYの地下鉄車両買い切りです。シンプルでわかりやすく、明るいカラー。リブランディングの王道でしょう。世界中に知られているブランドなので、そのロゴの変化に気づいた人も少なくはないはずです。

このリブランディングですが、広告業界ではちょっとしたニュースになってました。一つには、過去50年間にわたりPepsiを担当していた大手広告会社BBDOから、その担当がAORがTBWA/Chiat/Dayに移ったのです。数百億円のディールが動いたこと自体、大きな話ですが、50年以上の歴史に区切りをつけたわけで、これも「Change」ブームの一つだったのでしょうか。とはいえ、一つ上のレベルではOmnicom Groupという広告会社グループ傘下にいる両社というのが何とも救いというか、腑に落ちない感じもあります。

もう一つの話とは、この「リブランディング」の中でも特に重要となるロゴ部分のブループリントやコンセプトシートなどがインターネット上で漏れてしまったことです。これを担当したのがOmnicomグループのブランドエージェンシーArnell Groupです。この27ページにわたるコンセプトシートを元に写真のロゴが生まれたわけで、エージェンシーとしては「手の内がばれた」ことになります。が、当のエージェンシーはこの状況に比較的クールな態度であり、「逆に喜ばしいこと」などとコメントしているところがニューヨークらしいです。

一説には、オバマ大統領キャンペーンのロゴと「似ている」という噂もあったので、その噂を全否定する意味でリークさせたかもしれません。詳細は不明ですが。。。

March 05, 2009

街角の小売業


3月に入ったと思ったら大雪が降ったりと、まだまだ寒いニューヨークです。世の中、いい話があるわけでもなく、全体的に相変わらず停滞感だらけなので、早く暖かくなってほしいと思う毎日です。

さて、日本とニューヨーク。いろいろな違いはあるけれども、街角の小売業にもその性格が出ています。写真の店は「プラスティック ランド」。とてもわかりやすい名前のとおり、店内には大小、丸、三角、四角などのプラスチックのケース、さまざまな厚さや色のアクリルの板、色々な太さの丸い棒等々、プラスティックの製品ばかりが所狭しと並べられています。似たような店をマンハッタンでは何件も見かけました。

果たしてこの種の店が日本にはあったのだろうか?ふと疑問に思うわけですね。僕の記憶だと、東急ハンズに行けば、そこそこは揃うのですが、種類の多さにはかないません。いったいどれほどのニューヨーカーがこの「プラスティック屋」を必要としているのか、どうにも理解できかねるわけです。そういえば、ニューヨークに来たばかりの頃、こちらの友人に「何で時計屋がないの?」と聞いたことを思い出しました。最近では見かけなくなったのかもしれませんが、僕の生まれた町の商店街はもちろん、隣町にも必ず数件の時計屋があったものです。置時計から、腕時計がいっぱい置かれている店はなかなかスリリングで楽しかったことを覚えてます。

「マンハッタンにはこうした街の時計屋がない(もちろん高級腕時計を扱う専門店はありますが)」とふと気づき、友人にその質問をしたところ、「だってビジネスとして成り立たないじゃん」というような返事が返ってきて、妙に納得したようなふりをしました。時計屋とプラスティック屋、深い意味があるわけでもないけども、ふと何故?と思って写真にとった夕方でした。