October 27, 2006

再び銀行 - ATMの故障とカスタマーサービス


あるものがなくて焦ったレッカー移動の次は、出るものが出なくて焦った事件に遭遇しました。こうしたことが週に2度起こることはとても珍しいです。事件とは、銀行のATMでキャッシュを引き出そうとしたが、現金が出ないまま処理が終わってしまったのです。(写真は現在の該当ATM。クレームが多かったせいか利用させないようにしています)

26日の昼間、近くのDuane Reade(ニューヨークのドラッグストア)で60ドル引き出そうとし、店内設置のJPMorgan Chase銀行のATMを利用しました。最後の処理で60ドル出てくるはずが、機械の音がかすかに聞こえただけで現金は出ず処理は終了。びっくりしたのですが、後ろに人が並んでいたので"It seems to be broken. Cash doesn't come out"と告げて彼の操作を見てました。すると彼は問題なくキャッシュを出しました。???と思いで、再び同じ操作をしたところ、今回は問題なく60ドルが出てきました。

さてと、どのようにして空振りに終わった60ドルを取り返すか考えた挙句。店員に言っても埒があきそうにないので、ひとまずJPMorgan ChaseのWebサイトにてクレームのEメールを送付しました。それが当日できる唯一のことです。

翌日Webサイトで確認したところ、しっかり60ドル引き落とされてました。かなり頭に来たのですが、同時にメールに対する返事もありました。

Dear Naoki Muramatsu,

Although we attempt to handle every inquiry that we
receive, some inquiries must be handled by that
department's servicing area. In this manner, we ensure
that your inquiry is accurately addressed.

For further assistance with this inquiry, please contact
our Dispute Resolution Department directly by calling
866-xxx-xxxx. Representatives are available Monday
through Friday from 8 AM to 9 PM and Saturday from 8 AM to
5 PM Eastern time.

早速この電話番号に電話して状況を伝えたところ、何と一つ返事で60ドルがクレジットされました。昆k内のケースは自分の無実を証明する証拠がないので、長期戦を予想していたのですが何とも期待はずれです。が、逆に感謝の気持ちも若干芽生えたのも事実です。米国流カスタマーサービスというのはこういうことなのか。と、改めて思わされた事件でした。ちなみに、オペレーターに「こういうことはよくあるのか?」と聞くと、「よくはないけど、機械だからたまにある」と当然のように答えてました。

ミスが絶対に許されない日本の銀行。ATMが壊れていたり、ミスがあっても裁量の範囲内であればその場で解決できる米国の銀行。どちらが「カスタマー」にとってハッピーなのでしょう。

October 26, 2006

基本に忠実 - 銀行マーケティング戦略


日本では一段落した銀行の統廃合。米国でも一時のブームは過ぎたものの、地道な統廃合は続いています。さらに、統廃合後のメガバンクのマーケティング戦略がなかなか楽しい。先日は、HSBCの「移動アイスクリーム屋」マーケティングを紹介しましたが、今回はBank of Americaを取り上げます。

ここ数週間、ニューヨークの屋外広告(写真のような地下鉄車両内広告も含む)やオンライン広告にて、「0% online equity trade (オンライン株式取引手数料無料)」キャンペーンの露出度が大変高いのです。まさに今必要と思っていた僕は、早速この実体を調べてみました。制限事項として、「約300万円程の預金口座開設」と「月間での取り引数の上限」がありました。トリックとしては、預金口座での利息が一般より若干低く設定されており、その差額分を株式取引の手数料にて代替しよう。ということです。

結局僕は新しい口座を開設することをあきらめ、Prospect Customerとしてこのキャンペーンの意図に乗ったにすぎませんでした。しかし、感心したのは、「市場の状況をしっかり捉えたオファーを創造し、潜在顧客に分かり易くかつ的確なキャンペーンメッセージにおとして展開している」ことです。特に、Bank of Americaのようなニューヨーク参入の新規組にとっては、こうした地域の顧客属性に合ったアプローチも必須なのでしょう。

以前には、Citibankが新規口座開設者に対してiPod Miniを全員に無料で配布したり、キャンペーン期間中に口座を開設した場合には通常よりも高めの利息を設定するなど、旬で機能的なオファー+広告戦略を続ける米国の商業銀行です。これからも時折銀行Webサイトを熟読しつつ悩む夜があるかもしれません。

October 24, 2006

ペット アダプション


またまたユニオンスクエアの話です。先週末に行われていたのは、ペットのアダプション(飼い主のいないペットを『責任をもって』引き取る)フェアでした。ニューヨーク周辺には、ペットのアダプションに関連するNPO的な組織が多数あり、その中の5,6グループがユニオンスクエアにて犬・猫を中心としたアダプションを実施してました。

ニューヨークは飼い犬のある世帯率が世界一ではないかと思うぐらい、犬の散歩の風景を見かけます。その数と比例して、飼い主のないペットの数も増えるのかもしれません。血統書付きの高級ペット市場ももちろんありますが、こうしたアダプション市場もかなり活発です。写真の車は中でも大きな組織ASPCAのモノ。大きなバンを見事に改良し、さながら移動ペット屋状態です。これには驚きました。

僕も猫を飼おうとした時期があって、こうしたアダプションセンターを数箇所訪れたことがあります。結局飼えなかったのですが、今で機会があればこうしたセンターで猫を見つけて飼いたいと思ってます。はたから見れば、「さすが米国。ペットのケアもしっかりしている」と思いたいのですが、最近友人から聞いた悲しい話を思い出しました。

その友人は、こうしたセンター数箇所でボランティアをしていました。そこで見たのは「動物虐待」に近い扱いをする組織の職員が多いという事実です。組織はNPOである場合が多く、その運営はボランティアに依存していますが、コアとなる職員は給料制のはずです。そうした立場の人が動物を生き物として扱わず、モノとして考えがちといった雰囲気がどの組織にも共通してあるようです。純粋に動物が好きで集まったボランティア達も、そうした現状に悲観して離れていく。その友人もその一人という話を聞き、なんとも皮肉というか悲しいですね。

October 22, 2006

300ドルのストーリー


気温が下がり晴れ渡った土曜日の午後、ちょっとした映画のようなストーリーの事件に遭遇しました。僕の車がレッカー移動されたのです。いつもは遠い駐車場に置いておく車ですが、今回は近くの路上にたまたま止めておいたのです。気づいたのは土曜の午後3時。木曜の夜に路上の場所を見つけ駐車し、金曜はチェックせず、土曜の午後にプールに行く前に車がいたずらされていないか確認したところ、なんと車がありませんでした。

あるはずの車がない状態というのは、経験した人でないとわからないかもしれません。「夢を見ている」、「何かの間違い」等々と現実から乖離される瞬間でしょう。映画のプロットとして、日常生活のリズムが少し外れたところから端を発し、思いもよらないストーリーへと展開していく。まさに、そんな状況がこの瞬間から僕にも起こったわけです。

あわてる気持ちを押さえつつ、何が起こったかを冷静に考えようとしました。路上すぐ横にあるビザ屋に聞いたら、中で働くヒスパニックの兄さんが指差したのがこの写真の水道栓。これで疑問が解けました。つまり、「水道栓の近所に駐車してはいけないという駐車違反」が原因でレッカー移動された可能性が高いのです。となると、それを確認しに、近くの派出所へ出向きました。この時点では、レッカー移動8割、盗難2割かなという思いでした。盗難となると手続きその他が面倒で、かつ車もなくなるという最悪の状況になるため、レッカー移動でありますように。と祈る気持ち大だったのは明らかです。

15分ほど歩いて派出所。筋肉自慢のNYPD達がやる気なさそうにしている場所で、状況を話しレッカー移動されているのか、盗難にあったか調べてもらいました。およそ10分後に答えがわかり、無事?レッカー移動されているとのこと。「38丁目とWest Endの事務所に行け」との指示があり、書類をもらいそのまま地下鉄で直行。その場所にについたのが午後4時過ぎです。

写真で見るとわかるのですが、この水道栓はとにかくわかりにくい場所に立ってます。花壇の中にある水道栓なんて予想もしてなかったのです。が、それも後の祭り。今はとにかく車を返却してもらうことに精一杯でした。その引き取り場所では、同じような境遇の人たちが20名ほど待ち行列を作り、各々のストーリーを持参して金銭と引き換えに車の引き取りに来ています。最終的に僕が車を引き取れたのが5時過ぎ。そして、115ドルの駐車違反罰金に加え、レッカー移動費185ドルの合計300ドル(3万5千円)で2時間強のドラマの結果、無事車は戻ってきました。

ニューヨーク在住14年。レッカー移動された話は友人からたくさん聞いていたけども、自分がされたのは始めてでした。確かに高いドラマ代でしたが、盗難でなく、当日車で約束があったわけでもなかった分、不幸中の幸いかもしれません。こんな事件があっても路上駐車はこれからも続けます。

October 20, 2006

街角ブランディング - その2


先月のモノですが、地下鉄駅のポスターで面白いメッセージがありました。

広告主はTargetという、Walmartに代表される「ディスカウント・リテーラー」企業です。このTarget社のブランド戦略はとても興味深く、競合の巨人Walmartとは全く異なるアプローチを展開しています。安さを前面に押し出すWalmartに対して、「デザイン志向」をベースとしたブランド戦略で一線を画しています。

そのTargetが、この地下鉄広告で伝えているメッセージは「金曜日夕方のMOMAの入場料は無料です」といういたって簡単な内容です(5ヶ国語で表現してます)。興味深い点として、このポスターにはTargetという企業名は入ってないのです。その代わり、赤色二重丸のTargetロゴのみにて会社名を表現し、「MOMAの入場料はTargetが肩代わりしているよ」と無言で伝えています。見せ方以外でのポイントは2つ。

①MOMAのような大御所美術館でも無料サービスを提供する
②美術館の無料サービスを支援すること自体をブランディングに利用している

という点です。商品やサービスを取り上げることだけがブランディングではなく、このように間接的かつ社会的に評価され易い内容で企業イメージを押し上げるアプローチ、なかなか考えこんであります。

October 19, 2006

街角ブランディング - その1


ニューヨーク、マンハッタンはいろいろな意味で騒々しいです。騒音、パトカーのサイレン、携帯で大声で話す人達等々。こうした音の騒々しさに加えて、広告メッセージ、ブランドメッセージとの接触も騒々しさに拍車をかけていると信じているのが、職業柄私の持論でもあります。 (東京は別の意味で広告接触度が高いのですが…)

この写真は、今年の夏の終わりごろ5番街と40丁目あたりでランチの場所を探していた時に遭遇した、「銀行スポンサーのアイスクリーム屋」です。ここでのポイントは3点あります。

①アメリカ人のアイス消費量は世界一(あくまでも推定)
②極めて一般的な移動アイスクリーム屋
③銀行のブランディングにアイス屋まで登場

です。まず、米国は老若男女問わずアイスクリームが大好きです。とにかく、大人も子供も大口をあけて歩きながらぺろぺろしている姿が多いのです。そして、ミニバンを改良した移動アイス屋もとても盛んです。夏になれば、おきまりのメロディーを流したバンが街角いたるところに現れ、アイスを売ります。そして、この状況に目をつけた HSBC銀行が「HSBCブランドアイスを無料配布」してました。5番街のこのエリアはHSBC銀行のニューヨーク拠点に程近く、場所的にも意味のあるゲリラマーケティング戦略ともいえます。

日本と同じく、メガバンクの合併が盛んな米国でも、銀行の差別化ブランド戦略はかなりアツく繰り広げられています。利息による差別化、金融商品による差別化などの製品戦略に加え、アイス無料マーケティングのような消費者のココロを和ませる変化球も得意としているところが米国流なのかもしれません。

October 18, 2006

iPodの進化論


iPodに関するニュースは日々たくさんフィードされています。今日の米国証券市場でもAppleの今期利益が前年度比27%増加といった、クリスマスシーズン直前の四半期でもかなりの順調成長なのです。Appleの躍進の原動力はやiPodの成功にあるのは誰でも明快でしょう。ここ、ニューヨークではSOHOミッドタウンの2箇所にAppleストアがあり、日々観光客や地元ニューヨーカーで混雑しています。

さて、すでに数世代進化してきているiPodですが、ビデオの扱いが今後の世の中に大きな影響を与えていくのは確実です。写真では、今日通勤途中に見かけた「テレビドラマを通勤電車で見るユーザー」の一例です。楽曲を聴いている人は各車両少なくとも5名はいるのですが、最近このようにビデオ・コンテンツを見るユーザーをいたるところで見ます。ニューヨークの地下鉄、スターバックス、空港、機内等々、「テレビ番組はリビングルームで」、「映画は映画館もしくはカウチで」といった今まで当然とされていた「場所」と映像コンテンツの接点が見事に崩れていきます。

同じコトを実現したのは、ソニーのWalkman。「音楽を聴く」行為を特定の場所から開放し、お財布同様自分と一緒に動けるコトとしました。iPodでは、「音楽」ではなく「映像」を実現しています。これは大きなステップだと思うのです。なぜならば、映像は「メディア」という大きなお財布と密接な関係があり、それ故日々議論されている「メディアを取り巻く環境」に大きな変化を生み出す力となりえるからだと思ってます。そんなコトをいつも考えながら、今年末に発売されるiPodの新モデルを早く入手したいと思う今日この頃です。

October 08, 2006

お祭り - その3

今年のお祭りは、天気に恵まれすぎたかもしれません。土日とも昼間は快晴。風が強く日向は暑いが日陰は涼しい。そして、夜は風のおかげかかなり寒かったです。温帯気候の日本にいながら、さながらアリゾナの砂漠にいるような気候だったのは興味深いかな。お祭りの特殊な雰囲気は、アリゾナのネイティブ・アメリカンの儀式にも似てるかな?と強引に考えたりしました。-かなり違ってますね。

ビデオで少しでも雰囲気が伝わるでしょうか?

Local Shinto Festival - Float and the People

October 07, 2006

お祭り - その2


ニューヨークからの長い長い道のりとなったものの、7日、8日のお祭り当日は快晴に恵まれてとても気持ちがよかったです。

お祭りに対しては様々な思いやメッセージがあり、なかなか整理しきれないのがホンネです。思いついた時に、時折書いてみることにします。でも、一番大切なことは幼馴染と会えることだと思ってます。会って、何を話すわけでもないけれど、生まれ育った場所でこうしてその当時の友人達と会えることは、遠いところにいる僕にとってはかけがえのない時間だと思います。

October 06, 2006

お祭り


10月の最初の週末は、故郷静岡にて毎年お祭りが開催されます。今年は、休暇を取って参加することにしました。

6日(金)の夕方に成田着後そのまま磐田に直行の予定だったのですが、そうはうまくいきませんでした。台風の影響で飛行機が札幌経由成田着となり、さらに成田エクスプレスが遅れ、結局新幹線に乗れなかった。という、今までで最も「遠い磐田」を体験することになりました。写真は千歳空港での機内の様子です。

「天候不良の時、飛行機は結構待っていてくれるけども、JRはさすがに待たないんだ」と思ったり、「成田エクスプレスは案外弱い」という事実も知ったかな。

成田エクスプレスの中では、たまたま乗り合わせたオーストラリアから来たご夫妻といろいろと話しました。僕よりも悲惨なご夫妻は、本当は名古屋空港に着く予定だったのですが、成田着に変更されたため、成田エクスプレス→新幹線で名古屋に行かなければいけなくなった。とのこと。利用したJALからは1万3千円渡されたけれども、多分足りないだろう。だって。一連の混乱で思ったのは、『現実を素直に受け止め、皆静かに辛抱している』ことです。ニューヨークでは、こういう場合の雰囲気は容易に想像できます。世の中の終わりのような大袈裟な表現を使って大声で文句を言い、航空会社に詰め寄り、自分だけでもよりよい状況へと導こうとするのが、残念ながらニューヨークのしきたりです。今回周りにいた、日本を含めたアジア人、そして大変な苦労をしたオーストラリアのご夫妻達の大人の対応は、僕にとっても安堵感が一杯でした。

October 04, 2006

ゴミといえば


10月なのに、8月のような気候の一日でした。 寒いより、暑い方が好きな僕としては気持ちが明るくなります。明日からの日本に備え、髪を切り自称「お祭り仕様」となりました。

さて、昨日のポストでアメリカ、特にニューヨークのゴミ事情にちらっと触れてみました。その後、頭から離れなくなったので、今日も続けてみます。この写真は夏のソーホーでよく見かける「ゴミ箱破裂」状態です。皆、思い思いに飲み物や食べ物を買い、歩きながら飲み食いし、ゴミ箱があったらそこに捨てる。というとてもシンプルな行動パターンが多数集まると、必ずこういう状況になる。という見本です。

日本では昔から、「公衆の面前でモノを食べるのははしたない」とか、「歩きながら飲み食いしてはいけません」といった、立派な教えがありました。今ではすっかり薄らいだようですが、私としてはこの立派な教えを、出来る限り守っていくべきだと思います。

ただ、このゴミ箱、別の意味のベネフィットもあります。ニューヨークでは(州によって異なりますが)、空き缶や空きボトルを所定の場所に返却すると、一つあたり5セントもらえるしくみになってます。(昔、駄菓子屋や酒屋でジュースを買って、空き瓶を返すと10円もらえる仕組みと同様)これにより、ホームレスの収入源になるというのも事実です。

食べ放題&捨て放題でホームレスの収入源確保のニューヨークがよいのか、ゴミ箱そのものを街から撤去した日本がよいのか、考えてみましょう。

October 03, 2006

リサイクルの日


ごみ捨て天国の米国でも、時折「偽善的?」なリサイクル・デーが催されます。この日曜日は、ユニオンスクエアで朝8時から午後2時まで開催されました。対象は洋服とコンピュータ。我が家からは6年位使用していた AGFA製ハイエンド スキャナを持っていきました。

現場では、多くのボランティアが待ち構えて、整然と一つ一つのアイテムを受け取り、トラックに詰めこんでました。『なんだ、やればできるじゃん』ってのが率直な感想。分別ごみの精神は日本のみならず、ドイツ、フランスなど欧州では当然。ここ米国だけが世界の先進国の意識からずれているのです。

ひとまず、AGFAスキャナ殿。お疲れ様でした。

はじめに

さすがにBlogぐらいは無いと。。。の思いで、ようやく重い腰と腕を動かすことにしました。これから先、ライフスタイルのこと、仕事のこと、食べ物のことを、その他気になることを記録していこうと思ってます。どんな内容になるかは、僕も楽しみ。