October 22, 2006

300ドルのストーリー


気温が下がり晴れ渡った土曜日の午後、ちょっとした映画のようなストーリーの事件に遭遇しました。僕の車がレッカー移動されたのです。いつもは遠い駐車場に置いておく車ですが、今回は近くの路上にたまたま止めておいたのです。気づいたのは土曜の午後3時。木曜の夜に路上の場所を見つけ駐車し、金曜はチェックせず、土曜の午後にプールに行く前に車がいたずらされていないか確認したところ、なんと車がありませんでした。

あるはずの車がない状態というのは、経験した人でないとわからないかもしれません。「夢を見ている」、「何かの間違い」等々と現実から乖離される瞬間でしょう。映画のプロットとして、日常生活のリズムが少し外れたところから端を発し、思いもよらないストーリーへと展開していく。まさに、そんな状況がこの瞬間から僕にも起こったわけです。

あわてる気持ちを押さえつつ、何が起こったかを冷静に考えようとしました。路上すぐ横にあるビザ屋に聞いたら、中で働くヒスパニックの兄さんが指差したのがこの写真の水道栓。これで疑問が解けました。つまり、「水道栓の近所に駐車してはいけないという駐車違反」が原因でレッカー移動された可能性が高いのです。となると、それを確認しに、近くの派出所へ出向きました。この時点では、レッカー移動8割、盗難2割かなという思いでした。盗難となると手続きその他が面倒で、かつ車もなくなるという最悪の状況になるため、レッカー移動でありますように。と祈る気持ち大だったのは明らかです。

15分ほど歩いて派出所。筋肉自慢のNYPD達がやる気なさそうにしている場所で、状況を話しレッカー移動されているのか、盗難にあったか調べてもらいました。およそ10分後に答えがわかり、無事?レッカー移動されているとのこと。「38丁目とWest Endの事務所に行け」との指示があり、書類をもらいそのまま地下鉄で直行。その場所にについたのが午後4時過ぎです。

写真で見るとわかるのですが、この水道栓はとにかくわかりにくい場所に立ってます。花壇の中にある水道栓なんて予想もしてなかったのです。が、それも後の祭り。今はとにかく車を返却してもらうことに精一杯でした。その引き取り場所では、同じような境遇の人たちが20名ほど待ち行列を作り、各々のストーリーを持参して金銭と引き換えに車の引き取りに来ています。最終的に僕が車を引き取れたのが5時過ぎ。そして、115ドルの駐車違反罰金に加え、レッカー移動費185ドルの合計300ドル(3万5千円)で2時間強のドラマの結果、無事車は戻ってきました。

ニューヨーク在住14年。レッカー移動された話は友人からたくさん聞いていたけども、自分がされたのは始めてでした。確かに高いドラマ代でしたが、盗難でなく、当日車で約束があったわけでもなかった分、不幸中の幸いかもしれません。こんな事件があっても路上駐車はこれからも続けます。

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